お世話になっております、八百谷金属工業株式会社の八百谷でございます。
日々、熱い湯流れと向き合う鋳造の現場から、今回はアルミ合金の定番である「AC4種」をご紹介いたします。
AC4種の主役「シリコン(Si)」がもたらす効果
AC4種を語る上で絶対に外せないのが「ケイ素(シリコン/Si)」の存在です。AC4Cなどには約7%〜9%ものシリコンが含まれています。
通常、金属は液体から固体になるときに体積が縮む(凝固収縮)ため、これが「ひけ巣」などの欠陥の原因になります。しかし、シリコンという物質は不思議な性質を持っており、水が氷になるときのように「固まると体積が膨張する」という珍しい特性があります。
- アルミ: 固まると縮みたい
- シリコン: 固まると膨らみたい
この二つの性質が絶妙に打ち消し合うことで、AC4種は「引けが少なく、複雑な形状の型にも隅々まで湯が行き渡る」という抜群の鋳造性を手に入れています。まさに、成分同士の「お互いを補い合うチームワーク」が生んだ傑作なのです。
実はデリケート! ナトリウム(Na)の添加タイミング
AC4種(特にAC4CやAC4CH)の組織をさらに強くするために、溶解現場で行われるのが「改良処理」です。
シリコンがそのまま固まると、粗大で脆い「板状」の結晶になってしまい、衝撃に弱くなります。そこで、溶解中にごくわずかなナトリウムを添加します。すると、シリコンの結晶が微細な「繊維状」へと劇的に変化し、靭性が一気に向上します。

デリケートポイント:ナトリウムは非常に揮発性が高く、溶湯の中でどんどん蒸発して効果が消えてしまいます。そのため、職人は「型に流し込むタイミング」を逆算し、まさに一瞬の勝負でこのタイミングをコントロールしています。
宿敵「水素ガス」との戦い
アルミの溶解において、切っても切り離せないのが「水素ガス」との戦いです。 アルミの溶湯は、空気中の水分(湿度)と反応して、驚くほど簡単に水素ガスを吸収してしまいます。
しかも、液体状態のアルミは水素をたくさん溶かし込めますが、固まった途端にその許容量が約10分の1に激減します。つまり、対策を怠ると、固まる瞬間に追い出された水素ガスが、鋳物の中に無数の小さな穴(ピンホール)を作ってしまうのです。
これを防ぐために、現場ではGBF(回転ローター式脱ガス装置)を使って不活性ガス(アルゴン)の細かい泡を吹き込み、溶湯中の水素を「泡に吸着させて追い出す」という緻密な脱ガス処理を行っています。
梅雨時期や夏場など、湿度が高い今の季節の溶解は、まさに職人の経験と最新のガス管理技術が試される季節なのです。
私たちは、こうした目に見えないプロセスのひとつひとつにこだわり、日々高品質なものづくりを目指して鋳造に励んでいます。 アルミ鋳物に関するお悩みや、試作・製造のご要望がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください!
4種の製法を活かし、その製品に最適なプロセスでご提案いたします。
鋳物のお困りごとがありましたら弊社問合せフォーム迄お待ちしております!




