こんにちは、営業部長の藤本です。
今回は、これから鋳造を学ぶ方に向けて、アルミ鋳物の基本をわかりやすく紹介します。
鋳物ってなに?
「鋳物(いもの)」とは、金属をいったん溶かして、型に流し込み、冷やして固めたもののことを言います。
つまり、鉄やアルミ、銅などを高温でドロドロにして、
「この形にしたい!」という型に流して形を作る製造方法です。
鋳物は様々なところで目にします。
たとえば、
エンジン部品、ポンプのケース、マンホールのふた、工業用ロボットの骨格、
もっと身近なところでは公園のベンチの脚や街灯、おしゃれな曲線のデザインはだいたい鋳物製です。
身の回りの金属製品には、実はこの鋳物がたくさん使われています。
鋳物ができるまでの基本工程
- 木型を作る
完成品と同じ形の木型を作ります。 - 鋳型(いがた)を作る
砂で作られた型の中に、模型の形を転写。
鋳型の中には、完成品と同じ形状の空間が空いています。 - 金属を溶かす
溶解炉でアルミを高温で溶かします。
アルミなら約700℃が一般的です。 - 溶けた金属を流し込む(鋳込み)
溶湯(ようとう)を型に流し込み、隅々まで行き渡らせます。 - 冷やして固める(凝固)
金属が冷えて固まるまで待ちます。
このとき、収縮を補うために“押し湯”が使われます。 - 型を壊して鋳物を取り出す(型ばらし)
冷却後、鋳型を壊して中の鋳物を取り出します。 - 仕上げ加工・検査
湯口や押し湯を切り離し、表面を研磨。
必要に応じて機械加工や熱処理を行います。
この一連の工程を経て、ようやくひとつの「鋳物部品」が完成します。
鋳物の特徴とメリット
① 複雑な形状を一度で作れる
内部に空洞やリブを持つような形状でも、型設計次第で一体成形が可能。
切削では不可能な形も、鋳物なら実現できます。
② コストが安い(量産に強い)
同じ型を繰り返し使えるため、大量生産に向く。
③ 大きな部品も製作可能
溶湯を流すだけなので、1mを超える大型部品も比較的容易に作れます。
④ 材料ロスが少ない
切削のように削りカスが出ないため、歩留まりが高いのも魅力。
鋳物の弱点
もちろん、鋳物にも課題があります。
- 内部に巣(気泡・空洞)ができやすい
- 寸法精度は切削品より劣る
- 冷却のムラによる歪みや割れが出ることもある
こうした欠点を防ぐために、湯口・押し湯、冷やし金等の鋳造法案のノウハウが重要となります。
鋳物の内部構造と要素
鋳物の設計では、次のような要素がポイントになります👇
| 用語 | 意味 | 役割 |
|---|---|---|
| 湯口 | 金属を流し込む入口 | 溶湯を型に導く |
| 湯道 | 溶湯の通り道 | 各部に均等に流す |
| 押し湯 | 冷却時に金属を補給するための貯湯部 | 収縮による巣を防ぐ |
| 中子(なかご) | 中空形状を作るための砂型部品 | 内部空洞を形成 |
| 冷し金 | 凝固を早める金属部品 | 固化順序を制御 |

これらをうまく設計することで、
欠陥のない、高品質な鋳物が作られます。
鋳物とは、金属をいったん溶かして型に流し込み、冷やして形を作る昔ながらのものづくりです。
一見シンプルですが、そこには温度や流れ、冷却速度など、多くの職人技と経験が詰まっています。
自動車、機械、家庭用品
私たちの生活の中に「鋳物」はあふれています。
まさに、見えないところで社会を支える縁の下の力持ちなのです。
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