お世話になっております。工場長の吉中です。
前回の記事では溶湯の改良処理によってアルミ鋳物の強度を上げるお話をさせていただきましたが、今回はその効果をさらに上乗せする「熱処理」についてお話します。
アルミ鋳物の熱処理というのは、鋳造したままの材料の強さや延びと調整するために行う処理です。
簡単に言うと、「金属をいったん温めて、性質を整える作業」です。
主な目的は、
- 強度(硬さ・引張強さ)を上げる
- 延性(割れにくさ)をよくする
- 残留応力をなくす(変形しにくくする)
です。
弊社では主にT6処理とT5処理をおこなっており、その違いは下記となります。
★かんたんな比較表
| 項目 | T5処理 | T6処理 |
| 処理内容 | あたためるだけ(人工時効) | 高温→水冷→人工時効 |
| 強度 | 中くらい | 高い |
| 寸法の安定性 | 良い | やや変化あり |
| コスト | 安い | 高い |
| 向いている用途 | 外観部品など | 強度が必要な機械部品など |
T5処理は少ない手間で寸法が安定し、すこし強くなります。
T6処理は手間がかかりますが、とても強くなります。ただ、歪みが出る可能性があるので、歪み取りの作業が必要になることがあります。
こんな事を発見した先人の知恵には頭があがりませんが、負けずに何か新しく、面白いことを見つけてみたいですね。
4種の製法を活かし、その製品に最適なプロセスでご提案いたします。
鋳物のお困りごとがありましたら弊社問合せフォーム迄お待ちしております!





