お世話になっております。工場長の吉中です。
今回は弊社で行っている、アルミ合金の改良処理を記事にしたいと思います。
なぜ改良処理が必要となるのかをご説明させていただきます。
弊社でよく鋳造されるAC4A、AC4C、AC4B(Al-Si系統)は、鋳造性や耐食性が優れているため鋳物によく使われます。ただし、改良処理をしなければ凝固時に共晶 Si(ケイ素)が粗大で針状に析出するため、靭性が低くなりやすいのが欠点です。
この欠点を解消するために行うのが「改良処理」です。代表的な改良元素が Na(ナトリウム) と Sr(ストロンチウム) です。
🔹Na と Sr の比較
特徴 | Na (ナトリウム) | Sr (ストロンチウム) |
改良効果 | 強いが持続しにくい | やや穏やかだが長時間持続 |
添加方法 | 金属 Na、Na-塩フラックスなど | Al-Sr 母合金として添加 |
揮発・消耗 | 大きい | 少ない(安定) |
実用性 | 調整が難しい | 扱いやすく工業的に主流 |
弊社では最初ナトリウムで改良処理をおこなっていましたが、作業性の良さからストロンチウムに切り替え、今に至ります。
ストロンチウムによる効果
- 共晶 Si の形態を針状 → 繊維状に変化
Si が細かい粒子状になり、靭性・延性が向上。
割れにくくなるので、疲労強度も改善。
- 鋳造欠陥の低減
改良処理によって凝固過程が変わり、ミクロポロシティや割れの発生を抑制。
- 機械的性質の向上
衝撃値、伸び、疲労強度が特に改善。
引張強さも若干向上する。
また熱処理(T6等)の工程を入れることで、さらに強度を得ることが出来るため、品質の向上、安定につながります。

偏って固まっているため強度が落ちます

この状態から熱処理をすると、さらに馴染むイメージです。
4種の製法を活かし、その製品に最適なプロセスでご提案いたします。
鋳物のお困りごとがありましたら弊社問合せフォーム迄お待ちしております!