こんにちは。
営業部の辻川です。
世間ではW杯が盛り上がる中、気が付いたら師走の月、12月に入っていました。
毎年12月になるたびに「あっという間だったな~」と思ってしまいます。
あと1ヵ月、気を抜かずにやっていこうと思います。
さて、前回「アルミ地金について ① | 単品鋳物.com (arumiimono.com)」の続きで今回は弊社取扱材の機械的性質を見ていきたいと思います。
上記表ですが、前回に引き続きよく沸かす素材は黄色、
頻度が少ない素材は青色で表記しています。
この表はよく問合せがある2試験のJIS規格基準の数値を記載しております。
1つは引張試験。
これはアルミの棒を両側から機械で引っ張り、どこまで伸びるか・引っ張り強さを数値化したものです。靭性を測る試験の1種となります。
もう1つはブリネル硬さ。
これはアルミの表面に鉄球を落として凹みの深さを計測し数値化したものです。こちらは硬度を測る試験の中の1種です。
※表の数値は同地金でも砂型鋳造と金型鋳造で数値が異なることがあります。
また、表記にある「質別」の項目の熱処理の有無でも靭性・硬度が変わります。
F = 鋳造したあと熱処理を入れないこと。フリーの略。
T6 = 熱処理の1種。JIS規格に則りそれぞれの合金に合わせた温度・時間で熱を入れることで引っ張り強さ・硬度が増します。一方で伸びは少なくなる傾向にあります。
さて、余談が長くなったしまいましたが、上記を踏まえた上でこの表を見ると
AC4Bが他材に比べ、硬く伸びが少ないことが分かります。
AC7Aは1割ほど伸びるのでよく加工屋さんから「粘い」と言われます。
伸びが少ない鋳物は削ると「塑い」と言われることが多いです。
またAC4AとAC4Cの数値が近いですね。その理由は次の表を見てください。
上記表は合金別の使用されている製品例です。
表の左から2番目の項目「合金系」とは
アルミ合金の中に入っている添加物のことで、多い順に記載されています。
例えばAC4AやAC4Cですとアルミ―ケイ素―マグネシウムと、
成分の比率順に多く入っている添加物を表しています。
合金系でいうとAC4A,AC4Cは同じ系列のため、概ね性質が近いのはそういった理由です。
前回のブログに記載したアルミ合金成分表を見ても、それぞれのアルミ合金は数%ずつしか変わらないですが、その数%でこうして特徴が出てきます。
また、この数%の積み重ねで違いを出した合金は鋳造時の癖も全然違ってきます。
アルミ合金の鋳造時の癖はそのうちブログで書くことになると思います。
アルミ鋳物・アルミ合金と一口に言ってもJIS規格だけでもこれだけ種類があり、
規格をJISに絞らなければもっと大量のアルミ合金地金が存在しています。
製品を設計する際はそれぞれの特性を理解して決めることが重要ですね。
それでは今回はこの辺で。