お世話になっております、八百谷金属工業株式会社代表の八百谷でございます。
アルミ鋳物の不良原因としてよく挙げられるのが
**水素ガスによる巣(ピンホール)**です。
外観上は問題なく見えても、
切削後やX線検査で初めて見つかることも多く、
鋳物メーカー・発注側の双方にとって厄介な不良の一つです。
この水素ガス由来の巣は、
鋳造条件や型の問題ではなく、
溶解・溶湯処理の段階でほぼ結果が決まっている
と言っても過言ではありません。

なぜアルミは水素ガスを抱え込みやすいのか
アルミ溶湯は、
溶解時や保持中に大気中の水分と反応し、
水素を非常に吸収しやすい性質を持っています。
しかも、
- 溶湯温度が高い
- 保持時間が長い
- スクラップ比率が高い
こうした条件が重なるほど、
溶湯中の水素量は増加していきます。
つまり
「普通に溶かしているだけ」でも、
知らないうちに不良の原因を作ってしまう
というのがアルミ溶解の怖いところです。
当社の脱ガス処理:GBF+高純度アルゴン
当社では、水素ガス対策として
GBF(ガスバブリングフィルター)を使用し、
高純度アルゴンガスを溶湯中に吹き込む脱ガス処理を行っています。
アルゴンガスを微細に分散させることで、
- 溶湯中の水素ガスを吸着・除去
- ドロスの浮上促進
- 溶湯品質の安定化
といった効果が得られます。
重要なのは
「脱ガス装置を使っている」ことではなく、
適切な条件で確実に脱ガスを行うことだと考えています。
脱ガス後は必ずピンホール検査で確認
脱ガス処理は
「やったつもり」では意味がありません。
当社では、脱ガス後に
ピンホール検査機を使用して溶湯状態を確認し、
水素量が適正な範囲に入っているかをチェックしています。
この工程を入れることで、
- 脱ガス不足の見逃し防止
- 条件ズレの早期発見
- 品質の再現性向上
につながっています。
脱ガス後は“時間を空けない”ことも重要
脱ガス処理を行っても、
溶湯を長時間保持すれば再び水素を吸収します。
そのため当社では、
- 脱ガス後は速やかに鋳造
- 時間が経過した場合は再度脱ガスを実施
といった運用を徹底しています。
「一度脱ガスしたから大丈夫」ではなく、
溶湯の状態を常に疑うことが安定品質につながります。
製品ごとに最適な溶湯温度で鋳造
溶湯温度も品質を左右する重要な要素です。
温度が高すぎれば
水素吸収や酸化が進み、
低すぎれば
鋳肌不良や湯回り不良を招きます。
当社では、
製品形状・合金種ごとに適正な鋳造温度を設定し、
温度管理を行ったうえで鋳造しています。
鋳物品質は「溶かしている時点」で決まる
アルミ鋳物の品質は、
出来上がった後の検査だけで作り込むものではなく、
溶解・溶湯処理の段階でほぼ決まっています。
脱ガス方法、確認工程、時間管理、温度管理――
こうした地味な工程の積み重ねが、
安定した鋳物品質につながると考えています。
4種の製法を活かし、その製品に最適なプロセスでご提案いたします。
鋳物のお困りごとがありましたら弊社問合せフォーム迄お待ちしております!





