お世話になっております。工場長の吉中です。
今回は弊社の鋳造で溶解することが多い、AC4A、AC4B、AC4Cについて特性と違いについて書きたいと思います。
この3種類のアルミ合金は、主に「アルミニウム-ケイ素系(AL-Si系)」に分類されますが、ほかの主要な添加元素が異なります。
| 合金番号 | 合金系(主要元素) | 特性(傾向) |
| AC4A | Al-Si-Mg | Cuを含まない。熱処理(T6処理)により高強度が得られる。耐食性、溶接性が良好。 |
| AC4B | Al-Si-Cu | **銅(Cu)**が添加されている。鋳造性に優れる。引張強さは比較的高めだが、伸び(靭性)は低い。 |
| AC4C | Al-Si-Mg | Cuを含まない。AC4Aと同様に熱処理により高強度。AC4Aより不純物(Feなど)の規定が緩い場合がある。鋳造性、機械的性質に優れる鋳物とされる。 |
具体的な違いというのは、
1. 銅(Cu)の有無
・AC4A、AC4C:銅(Cu)を含まない、または極めて少ない(規定値以下)。このため、耐食性やアルマイト性に優れています。
・AC4B:銅(Cu)を含有(Al-Si-Cu系)。銅は強度向上に寄与しますが、耐食性や溶接性はCuを含まない合金に比べて劣る傾向があります。
2. マグネシウム(Mg)の有無と熱処理による強度
・AC4A、AC4C:マグネシウム(Mg)を含有しており、T6などの熱処理を施すことで、析出硬化により高い強度を得ることができます。
・AC4B:主にCuで強化されており、熱処理による強度向上の度合いはAl-Si-Mg系の合金とは異なります。
3. 不純物規定
・AC4AとAC4Cは同じAl-Si-Mg系で性質が近いですが、AC4Cの方が一般的に不純物(特に鉄:Fe)の含有量に関する規定が**厳しい(高純度)**場合が多いです。
・AC4CHという合金は、AC4Cよりもさらに不純物規定を厳しくしたもので、自動車用ホイールなど高い保安要求がある部品に使用されます。
4. 主な用途
・AC4A, AC4C:熱処理により高強度が得られるため、エンジン部品、過給機部品、車両・船舶用部品など、高い機械的性質や耐圧性が求められる部位に用いられます。
・AC4B:優れた鋳造性を活かし、一般的な機械部品や構造部品に広く用いられます。
これらの合金は、最終的な使用環境や要求される強度、耐食性、コストなどを考慮して選定されます。
AC4A, AC4B, AC4C アルミニウム合金の化学成分比較
| 元素 | AC4A (Al-Si-Mg系) | AC4B (Al-Si-Cu系) | AC4C (Al-Si-Mg系) |
| Cu(銅) | 0.25以下 | 2.0〜4.0 | 0.20以下 |
| Si(ケイ素) | 8.0〜10.0 | 7.0〜10.0 | 6.5〜7.5 |
| Mg(マグネシウム) | 0.30〜0.6 | 0.50以下 | 0.20〜0.4 |
| Fe(鉄) | 0.55以下 | 1.0以下 | 0.5以下 |
| Mn(マンガン) | 0.30〜0.6 | 0.50以下 | 0.6以下 |
| Zn(亜鉛) | 0.25以下 | 1.0以下 | 0.3以下 |
| Al(アルミニウム) | 残部 | 残部 | 残部 |
4種の製法を活かし、その製品に最適なプロセスでご提案いたします。
鋳物のお困りごとがありましたら弊社問合せフォーム迄お待ちしております!



