お世話になっております、八百谷金属工業株式会社の八百谷でございます。
私たちが製造するアルミ鋳物は、自動車部品や産業機器など、高い信頼性が求められる製品に使用されています。その品質を確保するために、特に溶湯(ようとう)(溶けたアルミ)の処理と検査には徹底的にこだわっています。
今回は、私たちが実践している**「GBF脱ガス処理」と「全ロット・ピンホール検査」**についてご紹介します。
🌡️ アルミ鋳物最大の敵「水素ガス」との戦い
アルミを溶解する際、大気中の水分と反応して水素ガスが溶湯中に吸収されてしまいます。この水素ガスが厄介者で、鋳物を冷やし固める(凝固させる)際に気泡となり、製品内部にピンホールと呼ばれる微細な穴として残ってしまいます。
ピンホールは製品の強度や気密性を損ない、重大な欠陥につながる可能性があります。そのため、鋳造前にこの水素ガスを可能な限り取り除くことが、高品質なアルミ鋳物を作るための最重要課題なのです。
✨ 徹底的なガス除去!GBF脱ガス処理の導入
私たちが行っているのが、GBF(Gas Blowing Fluxing/Rotary Degasser、回転脱ガス装置)を用いた脱ガス処理です。
GBFとは?
GBFは、溶湯の中に不活性ガス(主に窒素ガスやアルゴンガス)を回転するインペラ(羽根)から細かく分散させながら吹き込む装置です。
この処理を行うことで、溶湯中に含まれる水素ガスは不活性ガスの泡の中に入り込み、溶湯の表面へ浮上して大気中に放出されます。従来のフラックス処理と比べても、遥かに効率的かつ安定して水素ガスを除去することが可能です。
私たちは、このGBF処理をすべての溶湯で行い、常にクリーンな状態のアルミで鋳造を行っています。
🔍 品質を「見える化」するピンホール検査機
「脱ガス処理をやったから大丈夫」で終わらせてはいけません。実際に溶湯中の水素ガスが十分に除去されたかどうかを科学的に確認することが不可欠です。
そこで、当社では全ロットの溶湯に対してピンホール検査機(減圧凝固試験機)で検査を実施しています。

ピンホール検査機(減圧凝固試験)とは?
写真にあるような機器(MINI POROTECなど)を使用し、炉前の溶湯を少量サンプリングして、ガラスドーム内で減圧状態にして凝固させる試験です。
- ガスが多い溶湯:凝固する際に、内部の水素ガスが一気に膨張し、サンプルが大きく膨らんだり、表面に多数のピンホールが現れたりします。
- ガスが少ない溶湯:サンプルはほとんど膨らまず、緻密でなめらかな組織になります。
この検査結果を目視で確認することで、その溶湯が「合格レベル」にあるかを迅速かつ確実に判定できます。不合格と判定された溶湯は、再度GBFによる追加の脱ガス処理を行い、合格するまで鋳造には使用しません。
🤝 信頼の品質は、手間を惜しまない徹底検査から
GBFによる効果的な脱ガス処理と、それを全ロットで裏付けするピンホール検査。この二つの徹底した取り組みこそが、私たちがお客様に**「安心」と「高品質」**のアルミ鋳物をお届けできる理由です。
溶湯の品質管理に手間を惜しまないことで、内部欠陥のない、高強度で信頼性の高い製品づくりを実現しています。
今後も、八百谷金属工業株式会社は品質第一で、お客様のニーズに応えるアルミ鋳物を製造してまいります! ご質問やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
4種の製法を活かし、その製品に最適なプロセスでご提案いたします。
鋳物のお困りごとがありましたら弊社問合せフォーム迄お待ちしております!